美しいものに心奪われるのは古代人も現代人も同じことです。
古来から丸くて輝きを放つものは、神聖化され宝として珍重されてきました。
真珠のように加工を必要とせず、自然にあるがままの姿で際だった輝きを放つものは他にありませんでした。
人類史の中でも早くか宝珠とされてきた真珠は、極めて稀に貝の中から輝き現れるという神がかり的な要素もあり、人々に一層神秘的な魅力と畏怖の念を抱かせたに違いありません。
真珠という言葉は、歴史をさかのぼる事、紀元前千年ごろの中国の文献に見られ、日本では日本書紀にその記述があります。
珠というのは河海かかいで産する円形の玉という意味があるので玉石なども含みますが、中でも特に美しく光り輝いたものが真珠と呼ばれたのでしょう。
英語の『PEARL』は真珠が中世ラテン語の『PIRULA(西洋梨)』の形に似ていることに由来するといわれています。
古代ギリシアでは『MARAGARITES(光の子)』と表されたこともあり、真珠がいかに愛好されたかがうかがえます。
現在ではダイヤモンドが宝石の王様ですが、15世紀に研磨技術が確立されるまでは真珠が王様でした。
今では真珠は宝石の女王として世界中で愛されています。